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社説

新大学入試 「公平」「安定」は確かか

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 2020年度から始まる予定の新しい大学入試について、文部科学省が検討状況を明らかにした。大筋の方向は出たが、課題は多く、細かな制度設計にはまだ遠い。

 大規模試験では、受験生に機会の公平性、一定の信頼すべき基準が保たれた安定性を与えることが必要だ。今後も適宜論議内容を公開して意見を反映させるなど、広く理解と納得を得る努力が欠かせない。

 改革の主柱は、現行の大学入試センター試験に代わる「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」だ。マークシート式も併用しながら国語と数学に記述式を導入する。

 約50万人に上るマンモス試験である。採点をどうするか。マークシートの読み取りならコンピューターで処理できるが、思考力、表現力をみる記述式はそうはいかない。

 3案出たという。

 現行同様1月に試験をしセンターが採点する案。2月の国公立大学出願締め切りまでに採点を終えるには日数が少なすぎ、手間のかかる出題ができない。12月に早めて実施する案は、高校に影響が大きい。もう一つ、1月に実施して採点は各受験生の出願大学がする案は、各大学の合否決定まで採点期間が取れる。だが、大学教員の負担や採点基準のばらつき対策など、難題もある。

 英語の試験も大きく変わる。グローバル化に応じるコミュニケーション能力を伸ばすため、現行センター試験の「読む」「聞く」と、認定した民間の資格・検定試験による「話す」「書く」の成績を組み合わせ4技能を評価する。大規模試験ではできない民間のノウハウを生かすといい、将来は民間に一本化する。

 しかし、会場など、民間試験では受験機会に不均等は生じないか。仮に複数回受ける場合など受験料の経済的負担をどう抑制するか。試験内容と学習指導要領との整合性をどう保つか。細心の配慮と対策がいる。

 今回の改革には、大学入試が変わることで高校の学習も変わり、大学教育改革ともつながる「高大接続」という考え方がある。主体的な問題解決の思考力を育成するという次期学習指導要領にも通じる。

 高校教育、あるいは中学、小学校の授業も変えるという発想を共有するには、今回の論議がもっと広がる必要がある。大学も個別試験の工夫を怠っては改革の意味がない。

 文科省は、17年度初めには新テストの具体的な実施方針を発表し、その年11月には検証のための試行テストをするという。

 理念はいかにあれ、新テストの公平性と安定性に疑念が生じては元も子もない。見切り発車的なスタートだけはあってはならない。

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