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検証・異次元緩和

中小の活力引き出せ 全国中小企業団体中央会会長・大村功作氏

 −−日銀の大規模な金融緩和(異次元緩和)が始まって間もなく3年半になります。

     ◆当会の「中小企業月次景況調査」によると、景況感を示す指数(DI)は今年7月にマイナス30・5で、大規模緩和が始まった2013年4月(マイナス21・3)より悪い。消費税増税前の駆け込み需要があった14年3月にはプラス2・7だったが、その後はずっとマイナスだ。消費税増税や中国の景気減速、熊本地震などもあり、すべてを日銀だけのせいにはできないが、少なくとも緩和後も中小企業には景気回復の実感は全く及んでいない。大規模緩和を「評価できる」と言える状況ではない。

     −−マイナス金利政策が中小企業の経営に与える影響は?

     ◆大企業は低金利で資金を調達できるようになったが、中小企業にはそうした恩恵がほとんどなく、大企業との貸出金利の差が開いている。マイナス金利導入当初は金利が下がってお金を借りやすくなるとの期待もあったが、今では逆に、金融機関の体力がそがれないか心配している。マイナス金利幅が拡大して金融機関がますます疲弊すれば、中小企業に対する融資の判断が厳しくなり、貸出先の選別が始まるかもしれないからだ。貸出金利がかえって上がる可能性もある。金融機関からしか資金を調達できない多くの中小企業が淘汰(とうた)される懸念がある。

     −−政府・日銀は、物価上昇→消費や投資が前倒しされて企業収益が改善→賃金上昇→消費がさらに活性化−−というサイクル実現を目指しています。

     ◆そもそも、その順番は正しいだろうか。物価が上がれば、価格転嫁が難しい中小企業が真っ先に苦しくなる。そんな中では賃上げも極めて難しい。元気な企業もあるが、中小企業の7割は赤字経営だ。経済の好循環を目指すなら、こうした企業の活力を引き出すことが先決だと思う。

     −−日銀に期待する政策は?

     ◆もちろんデフレが続くのは困るが、経済がグローバル化した中で、金融政策だけでは景気は良くならないのではないか。中小企業には「金利が下がりそうだからといって設備投資をするわけではない」との声も少なくない。日銀には政府といっそう連携して対応してほしい。大切なことは、中小企業が景気回復を実感できる政策を実行することだ。日銀にはそうした観点を踏まえてこれからの金融政策を議論してもらいたい。【聞き手・和田憲二】=随時掲載


     ■人物略歴

    おおむら・こうさく

     日大理工学部卒、1975年都南鍍金工業所(現・都南ビーピー)代表取締役。厚生労働省労働政策審議会委員、東京都職業能力開発協会会長などを歴任。2015年6月から現職。78歳。

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