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社説

日銀の「検証」 誤りを認めることから

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 日銀が近く、異次元金融緩和策に対する自己検証の結果を公表する。金融市場では、早くもこれを受けた日銀の「次の手」に関心が集まっているようだ。

     だが、まずは政策の誤りを率直に認めることからである。どこが間違っていたのか、なぜ間違ったのかがあいまいなまま次の手を打っても、間違いを重ねることになるだろう。

     日銀が黒田東彦新総裁の下で、異例の大規模金融緩和策を導入したのは2013年4月だった。「2年程度で物価上昇率2%を達成する」と達成期限を宣言し、大量の国債などを金融機関から買って市場に巨額の資金を供給した。

     もうすぐ3年半だ。しかし、消費者物価指数の伸び率(7月)は2%に迫るどころか、マイナス0・5%だ。一時、円安進行で大企業の収益が大幅に改善されたが、期待された投資も賃上げも伴っていない。

     今年2月には、マイナス金利政策が導入された。市場金利は一段と低下したが、企業はすでに潤沢な資金を抱えており、投資のための新たな借り入れを刺激する力は限られた。

     他方、資金を運用する側へのしわ寄せは深刻化するばかりだ。1000万円を10年、メガバンクの定期預金に預けても、税引き後の利子収入は年800円に過ぎない。低リスクながら、利回りが銀行預金より良いということで人気を集めた投資信託の一種、MMF(マネー・マネジメント・ファンド)は、運用難から24年の歴史を閉じることになった。

     生命保険各社は、貯蓄性の高い商品の取り扱いを相次ぎ停止している。一方、銀行の間では、限定的とはいえ手数料の引き上げで、マイナス金利政策によるコスト増を補おうとする動きも出始めている。

     企業が将来社員に支払う年金や退職金に備えて積み立てておかねばならない必要資金も、金利低下により膨らむ一方だ。

     日銀の黒田総裁は、今後、政策金利のマイナス幅をさらに拡大する可能性をにじませているが、それが国民全体の利益になるだろうか。

     運用難にあえぐ金融機関に配慮し、期間の長い国債の利回りが高くなるような対策を取るとの観測もある。だがそのような手のこんだことをしてまでマイナス幅を拡大する意味があるのか、疑問だ。

     日銀が市場に供給する資金の量を倍増させれば、デフレが終わり、経済もよくなる。給料も上がる−−。その約束を果たせなかったことに対する説明責任が問われている。

     アベノミクスの看板政策だった量的緩和だ。失敗を認めることなく、戦略転換の方便として「検証」を利用するようなことは許されない。

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