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松浦 弥太郎・評『強父論』『〆切本』

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強くてこわくてひょうきんで、限りなくやさしい人だった

◆『強父論』阿川佐和子・著(文藝春秋/税抜き1300円)

◆『〆切本』夏目漱石ほか著(左右社/税抜き2300円)

 書店で『強父論』というタイトルを見たとき、ドキッとした。強父とはまさにキョーフであり、一年前に亡くなった父をそのまま表した言葉だったからだ。そして、著者が阿川佐和子さんと知り、妙に納得したのは、以前から強父仲間と勝手に思っていたからだ。

 小学五年生の時、ちょっと家の縁側に出るだけだったので、ズック(スニーカーとはいえない運動靴)のかかとを踏んで二、三歩歩いたら、「誰のおかげで靴を履けると思ってるんだ」と父のかみなりがドカンと落ちて、「そんな奴(やつ)は、靴なんて履かなくてよし」と言われ、学校に裸足で歩いて行かされたり、「髪の毛は伸びる前に切ってこい」と、しょっちゅう床屋に行かされたり、机の上を散らかしていたら、あったものをすべて…

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