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余録

歳時記に「岡見」という習俗が…

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 歳時記に「岡見(おかみ)」という習俗がある。大みそかの夜に蓑(みの)を逆さに着て丘から我が家を見ると来年の吉凶が分かるとの俗信である。江戸時代の随筆には同じく股の間からのぞいて吉凶を知ったとある▲民俗学者の常光(つねみつ)徹(とおる)さんの「しぐさの民俗学」によると、昔は股からのぞけば普段見えない幽霊や妖怪を見抜けるといわれた。岡見のように未来の出来事や、異国の風景まで見えたともいう。体の上下前後をあべこべにするしぐさが異界への窓を開くと思われたらしい▲股のぞきで霊を見るという話はロシアにもあったという。実際にやってみれば確かに日常とは異なる視界が開けることも俗信を広めたのだろう。天(あまの)橋立(はしだて)の股のぞきはそれを利用したものだが、この視覚効果の研究に今年のイグ・ノーベル賞の「知覚賞」が与えられた▲受賞したのは立命館大の東(ひがし)山篤規(やまあつき)教授と大阪大の足立浩平(あだちこうへい)教授である。学生ら多数が参加した実験により、股のぞきだと風景の遠近感がつかみにくく、遠くのものが手前に小さく見える錯視をみごと立証したのだ。ただ残念ながら幽霊や妖怪についてのデータはない▲イグ・ノーベル賞はこうした笑いを呼び起こす独創的研究のほか、「イグノーブル=不名誉な」業績にも与えられる。今年のイグノーブル系受賞者は「自動車の排ガス問題を検査時に自動的に解消する方法」により「化学賞」に決まったフォルクスワーゲン社だった▲これで日本人の受賞は10年連続となるが、主催者によるとまだまだ候補者はたくさんいるそうな。そう聞けば中にはイグノーブル系の候補もいないかと心配になる。心当たりも決して少なくない。

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