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(朝日新聞出版・2052円)
イノベーションとは何か
あちらでもこちらでもイノベーション、それ抜きで未来を語ってはいけない雰囲気だが、かけ声ばかりで実態が見えない気もする。本書は、「ガラス」「冷たさ」「音」「清潔」「時間」「光」という生活を大きく変えた六つのテーマを巡る発明の歴史物語であり、イノベーションとは何かを教えてくれる。
まず、エジソン登場の「光」を見よう。一〇万年以上前に火を使い始めた人類はこれを明かりとした。ロウソクである。ミツロウは高価で、庶民が用いた獣脂ロウソクは、煙が多く嫌な臭いがした。一八世紀初頭、強風で流された船がマッコウクジラに出会い、巨大な頭部に大量の油を見つけた。明るく白い光を放ち重宝され、一世紀で三〇万頭のマッコウクジラが殺され、このままいけば恐らく絶滅しただろう。
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