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毎日新聞朝刊1面の看板コラム「余録」。▲で段落を区切り、日々の出来事・ニュースを多彩に切り取ります。

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8割近い持ち家率は全国1位…

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 8割近い持ち家率は全国1位。夫婦共働きが多く、勤労世帯の実収入は全国トップクラスだ。道路などの社会資本も整備されている。富山県はさまざまな調査で「住みやすい県」ランキングの上位にいる▲その富山の市議会は政務活動費の不正請求問題で議員が相次いで辞職し、補欠選挙が行われる事態になった。飲食代に流用した議員の釈明は、あまりに正直なせいか耳に残る。「(飲み会に)誘われればいやと言えない性分なので」。住民が暮らしやすい県だからといって議員も生活、いや政活しやすいと皮肉られては市民もかなわない▲富山で発覚した問題は思わぬ形で全国に広がっている。政務活動費の使い道を調べようとした報道機関や市民団体の情報公開請求の内容を各地の議会事務局が対象の議員に教えていたのだ。議員は対応策を練ることができる。公務員はいったい誰のために働いているのか▲さて、富山といえば薬売りでも知られる。商売の精神は「先用後利(せんようこうり)」という。全国を歩いて薬を置く。その後毎年巡回し、服用した分を新品と置き換え、その代金のみを受け取る。つまり薬売りが利益を得るのはずっと後なのだ▲江戸期に始まったこの商法がなぜ受け入れられ、今も続いているのか。薬の効き目だけではない。顧客は薬のおかげで病気を癒やした後、感謝しつつ代金を支払う。薬売りとの信頼関係が生まれ、次の年も訪ねて来るのを待つようになる▲「先用後利」は政治の世界にはないのか。市民のために働いて成果を出し、感謝されてこそ、堂々と報酬を手にできる。そう全国の議員に気づかせることができる妙薬がほしい。

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