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赤ちゃん相談

「妊娠したかも」SOS電話が激増

慈恵病院の赤ちゃんポスト=熊本市島崎の慈恵病院で、結城かほる撮影

熊本の慈恵病院「窓口」に 10代が2割近くにも

 親が育てられない乳児を受け入れる赤ちゃんポストを設置した熊本市の慈恵病院による「SOS赤ちゃんとお母さんの相談窓口」への電話が、昨年度5466件となり、9年前の10倍以上に達した。10代の相談が2割近くあり、妊娠をめぐり孤立する若い女性の姿が浮かび上がる。元看護部長の田尻由貴子さん(66)は支援の実態をまとめた本を出版、「命と自分の人生を大切に」と訴えている。

 病院は2007年、赤ちゃんポストの開設に合わせ、24時間フリーダイヤル(0120・783・449)で相談を受け始めた。13年にテレビドラマ化されたことで知名度が広がり、ウェブサイトなどで「まずは相談を」と呼び掛けていることもあって利用が伸び、相談は累計約1万4700件に及ぶ。最も多いのは「妊娠したかも」「妊娠してしまった」との悩みだ。

 母子家庭に育った関東地方の16歳の高校生のケースでは、妊娠8カ月目で母親が慌てて相談。女子生徒は育てる気はあったものの、学業継続や経済的困難の壁にはばまれ、「父親代わりに忙しく働く母に心配をかけたくない」と一人悩んでいたという。田尻さんらは相談を重ね、慈恵病院で出産し、赤ちゃんを手放して特別養子縁組による養親に託した。

 胎児に障害があることが受け入れられなかった25歳の主婦は、赤ちゃんを養子に出すことを望んだ。考える時間を十分に確保し、病院として支援策を示して全力でサポートすると伝えたところ、最終的には「自分で育てる」決断をした。

 「あなたは育てたい気持ちはあるの?」「あなたの望む方向で支援策を探しましょう」。電話のほとんどは、最初は匿名だ。しかし田尻さんらが耳を傾け共感することで、相談者は名前や居住地を明かし、具体的な課題が浮かび解決につながっていくという。

 田尻さんは昨春に病院を定年退職し、現在は熊本市にある生涯学習支援事業事務所で妊娠相談に応じる。9月に出版した「はい。赤ちゃん相談室、田尻です」(ミネルヴァ書房)では、苦学して看護や福祉にささげた人生も記した。田尻さんは「命の尊さを伝えることはポスト開設に携わった私の責任」とし、人生設計のためにも性について学ぶよう、若い人に呼びかけている。【山崎明子】

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