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余録

「ノーベル賞週間」なる言葉が初めて小紙に登場したのは12年前だった…

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 「ノーベル賞週間」なる言葉が初めて小紙に登場したのは12年前だった。毎年10月、賞の受賞者が曜日ごとに順次発表される時期のことだ。ちょうど前々年まで3年連続で日本の受賞者があった年で、受賞が珍しくなくなった表れだろう▲実際、一昨日の大隅良典(おおすみよしのり)さんの受賞決定で今世紀の日本の自然科学系受賞者は16人となった。これは米国に次ぐ世界2位で、平均すれば年に1人は受賞していたことになる。もはや日本の科学界の秋祭りといった趣(おもむき)である▲受賞者数を国威発揚に結びつける発想は知的でも文化的でもないが、最先端の科学に縁のない衆(しゅ)生(じょう)にはその人類への貢献に目を開かせてくれる数少ない機会でもある。それを喜び、誇らしく思うのは人情というものだろう▲ところがその受賞ラッシュの足元では、この10年で研究論文の総数が世界2位から5位へと転落し、今の2位中国には大きく水をあけられた現実が広がっている。人口当たりの論文数は主要国中最低、よく取りざたされる大学の世界ランキングの低落も不思議でない▲受賞研究以外にも数多いノーベル賞級業績は1970〜90年代の日本の経済的繁栄を背景とした研究の果実といわれる。一時代の科学研究が画期的成果を生み、評価が定まるには相応の時間がかかる。ならばあまり想像したくない何十年か先のノーベル賞週間である▲「日脚(ひあし)はや高くのぼらず秋まつり/加藤(かとう)かけい」。夏の太陽がもたらした実りに感謝する秋祭りのころは日はもう高くのぼらない。世界トップクラスの科学研究を次の世代に引き継ぐにはどうすべきか。難題も抱えた日本科学界の秋祭りである。

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