メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

連載小説 ストロベリーライフ

/4 父親は見飽きた故郷の山 作・荻原浩 題字・画、佃二葉

=画、佃二葉

 新幹線がトンネルに入ると、家並みも山並みも近づいてきた富士山も、なにもかもが消えた。

 親父が死ぬ?

 まさかな。

 考えたこともなかった。

 二年前の正月に、ひとことも言葉を交わさないまま実家を後にした時には、もう二度と顔を見なくたって構わない、本気でそう思っていた。それでも、だ。

 頭が鏡開きの餅みたいに古くて固くておそらくうっすらカビが生えている、思春期の頃から三十半ばをすぎたいまに至るまで恵介(けいすけ)にとっては終始一貫、理解し合えない人、面倒くさい人だった。東京の友人知人にはできれば会わせたくない、典型的な田舎のオヤジ。

 代理店時代、携帯電話会社の家族割引サービスの広告をつくったことがある。八ケ岳までロケに行き、古民家…

この記事は有料記事です。

残り2634文字(全文2950文字)

荻原浩

さいたま市出身。成城大卒。1997年「オロロ畑でつかまえて」で小説すばる新人賞を受賞してデビュー。「海の見える理髪店」で第155回直木賞受賞。東京都在住。

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. ORICON NEWS ヒゲダン・藤原聡、一般女性との結婚報告「気持ちを新たに人生を歩む」

  2. GSOMIA決裂をギリギリ回避 防衛省幹部も驚いた急転直下の裏側

  3. 小学生バレーボール体罰 一部の保護者、口止め誓約書を配布 「情報漏らした」と正座させ詰問も

  4. 電車とホームドアの間に巻き込まれ医師死亡 稼働前で線路側に入れる状態 京急・上大岡駅

  5. 前夜祭「会費5000円」で安倍首相反論 官邸幹部も「唐揚げ増やすなどやり方ある」

編集部のオススメ記事

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです