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社説

パリ協定発効へ 批准遅れは恥ずかしい

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 京都議定書に代わる地球温暖化対策の新たな国際枠組みである「パリ協定」が11月4日に発効する。

     今月5日時点で73カ国と欧州連合(EU)が批准し、世界全体の温室効果ガス排出量に占める比率が55%を超えたことで、発効要件を満たした。歴史的な国際合意に基づき、化石燃料に依存しない脱炭素社会の実現を目指す取り組みが始動する。

     残念なのは、世界第5位の温室効果ガス排出国である日本の批准手続きが遅れ、協定の発効に貢献することができなかったことだ。

     11月7日からモロッコで開かれる国連気候変動枠組み条約第22回締約国会議(COP22)で、協定の第1回締約国会議(CMA1)も同時に開かれ、詳細なルール作りが本格化する。ところが、協定の規定では、批准から30日過ぎないと、CMA1で正式な発言権を持てない。

     政府は今月11日に協定の承認案を閣議決定し、今臨時国会で批准手続きを終える方針だが、CMA1には間に合わない可能性が高い。批准が遅れても、今後の交渉に大きな影響はないと説明するものの、協定のルール作りで日本が主導権をとることはできないだろう。

     京都議定書では、日本はホスト国として採択に尽力し、ルール作りでも一定の発言力を保ってきた。今回の対応では、温暖化対策に不熱心な国だと見られても仕方がない。

     批准に、与野党間で異論はないはずだ。臨時国会の最優先課題とし、速やかに手続きを終えるべきだ。

     パリ協定は昨年12月のCOP21で採択された。

     産業革命前からの平均気温上昇を2度未満に抑えるため、世界の温室効果ガスの排出量を今世紀後半に実質ゼロにする目標を掲げた。各国は温室効果ガスの排出削減対策を策定し、5年ごとに見直して内容を強化する義務を負うことになる。

     京都議定書は採択から発効まで7年余りかかったが、パリ協定は1年足らずのスピード発効となった。

     温室効果ガスの2大排出国である米国と中国が今年9月に協定の批准を同時発表したことで早期発効が確実となり、その後は、各国が雪崩を打ったように批准へと動いた。

     EUの対応が象徴的だ。通常は加盟国すべての国内手続き終了後にEUとして批准するため、時間がかかると見られていたが、EUとしての批准を急きょ優先した。国際交渉で後れを取らないためだ。

     一方、安倍晋三首相は臨時国会の所信表明で、パリ協定に言及しなかった。批准を急いだ各国の対応とは対照的だ。これでは、温暖化対策を最重要課題に位置づける世界の潮流に乗り遅れるばかりだろう。

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