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社説

稲田防衛相 この答弁で大丈夫か

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 稲田朋美防衛相(57)が、国会で野党から集中攻撃を受けている。稲田氏は歴史認識などが安倍晋三首相に近く、タカ派的な言動で知られる。外交・安全保障の経験が乏しいにもかかわらず防衛相に起用されたのは、首相が自身の後継者として育てようとしたためとも言われる。

 そういう背景のある稲田氏が、国の安全保障政策の責任者として、どういう考え方にもとづいて仕事をしていくのか、野党が厳しく追及するのは当然のことだ。しかし、これまでのところ、稲田氏が疑問に十分に答えているとは言えない。

 参院予算委員会では、民進党の蓮舫代表が、月刊誌「正論」(2011年3月号)に掲載された稲田氏の発言をもとに認識をただした。

 稲田氏はこの雑誌で「長期的には日本独自の核保有を国家戦略として検討すべきではないか」と語っている。だが、予算委で問われると「非核三原則を守り、核のない世界を実現するために尽くしていく」「現在、核保有は全く考えていないし、考えるべきでもない」と政府方針を繰り返した。蓮舫氏は「気持ちいいぐらいの変節」と皮肉ったが、認識を変えた理由を稲田氏はほとんど説明しなかった。

 就任直後の記者会見では、核保有について「将来的にどういった状況になるかもあるが、現時点で核保有を検討すべきではない」と含みを残すような発言をしたこともある。

 これでは、本当に「変節」したのかも怪しい。防衛相として一時的に自重しているだけで、何かの拍子に持論が復活するかもしれない、と疑いたくもなる。稲田氏はもっと丁寧に説明する必要がある。

 「防衛費」を「軍事費」と表現したのも、言い間違いと見過ごすわけにはいかない。首相が自衛隊を「わが軍」と呼んだことを思い起こさせる。自衛隊という実力組織を預かるだけに、神経を使ってもらいたい。

 衆院予算委では、8月にアフリカ・ジブチの自衛隊部隊を視察し、終戦記念日の全国戦没者追悼式を欠席したことを民進党の辻元清美氏から「言行不一致」と批判され、涙を浮かべたことがあった。

 答弁の際、稲田氏が、防衛官僚である秘書官から渡されたメモを読み上げてしのぐ場面も目立つ。

 野党からは稲田氏の資質や首相の任命責任を問う声が出ている。

 防衛省は、北朝鮮や中国の情勢、安保法制など多くの課題を抱えている。政府は近く、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)で、自衛隊に新任務を付与する方針で、稲田氏の現地視察の結果も判断材料になる。稲田氏は責任の重さを改めて自覚してほしい。

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