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記者の目

最前線の記者がそれぞれの取材テーマを論じます。1976年にスタートした毎日新聞を代表するコーナー。

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相模原殺傷事件=野沢和弘(論説室)

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事件から1カ月の日、献花に訪れた人々=相模原市の「津久井やまゆり園」で8月26日、丸山博撮影
事件から1カ月の日、献花に訪れた人々=相模原市の「津久井やまゆり園」で8月26日、丸山博撮影

真の被害者は誰なのか

 どうにも腑(ふ)に落ちない。いったい真の被害者は誰なのだろうか。

 相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で重度の障害者19人が殺害され、27人が負傷した事件から2カ月あまりが過ぎた。神奈川県は保護者と施設の要望を受けて施設の建て替えをするという。神奈川県警は「知的障害者の支援施設であり、遺族のプライバシーの保護等の必要性が高い」と被害者を匿名で発表した。マスコミの報道も差別や偏見に苦しむ保護者に同情的なものが多い。

 しかし、植松聖容疑者は「通り魔」ではない。事件の5カ月前まで「やまゆり園」で働いていた元職員である。勤務中には障害者に対する虐待行為や暴言もあった。なぜこんな人物を雇ったのか、どうして指導や改善ができなかったのか、なぜ犯行予告をされながら守れなかったのか……。被害者の家族がそう思ったとしても不思議ではない。もしも保育所で同じ事件が起きたら、施設は管理責任を追及されるはずだ。なぜ知的障害者施設では…

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