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ボブ・ディランさんのノーベル賞受賞が決定した。神のようにあこがれられ、魔物のように恐れられる、どちらにせよ手に負えないシンガー・ソングライターが、すべての栄誉を手中にした。
ディランは反体制運動が世界的に盛り上がった1960年代に登場した。可愛く言えば自由奔放でハックルベリー・フィンのような、欧米社会の理想を体現するやんちゃ坊主。半面、麻薬使用など反社会的な言動で良識派の眉をひそめさせた悪漢の顔も持つ。
その楽曲には、暗喩に満ちた抽象的な言葉の群れが決めごともなく並ぶ。時に難解で多様な解釈の余地のある歌詞を、多くの若者たちが体感した一方で、時代の最先端にいると信じる自称文化人の不安もあおった。暴れん坊ディランは、社会の不安定さの象徴となった。そしてまさにそのことが、彼を文化の先端に座らせ続けた。
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