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小笠原の四季を飾る花々は、思いを込めてレイとなり、出会いと別れを彩る。旅人との別れ、ふるさとを離れる人々、そして見送る島の人々……。冨田マスオさんの写真特集「ムニンヒメツバキの島より」最終回は、花とレイに囲まれた人々の暮らしを映し出す。
写真・文 冨田マスオ

レイを作る
小笠原では、島の植物や花からレイを作り、フラを踊る時に身につける。ティー(和名は千年木)の葉を三つ編みにし、ブーゲンビリアを織り込んでいく

ティーレイ
ティーの葉でレイを作ることが多く、ベースは緑色。これはさまざまな色のティーを織り込んだもの

プルメリア
プルメリアは夏に咲き乱れ、レイの花飾りに使われることが多い。これは赤い花だが、白や黄色の花もあり、非常にいい香りがする

フラの子供たち
小笠原のフラの祭典、サマーフェスティバル“フラオハナ”。自分たちで作ったレイを身につけ、クラスごとにフラを披露する
パラパライのレイ
パラパライ(シダの仲間)を織り込んだレイ。“フラオハナ”で島の高校生たちのチームが身につける
卒業のフラ
“フラオハナ”の終盤、翌年高校を卒業する2人が、プルメリアのハク(頭につける飾り)をつけてフラを踊る。小さいころから踊ってきたこの島から、翌年3月には内地へと旅立つ
ドラゴンフルーツ
“フラオハナ”が開かれた夜、帰り道の崖にドラゴンフルーツの花が咲き乱れていた。一晩だけ咲く花は愛らしいが、次の日にはしぼんでしまう
結婚撮影
レイは、フラを踊る時に身につけるだけではなく、結婚式やウエディング撮影にも欠かせない。この時は、プルメリアのハクとブーケを新婦が身につけ、新郎はパラパライのレイを掛けていた

見送りレイ
親しくなった人が島を離れる時、その人への感謝の思いを込めてレイやハクを作り、出港の時に掛けて見送る

見送り風景
おがさわら丸が岩壁から徐々に離れる時、レイを掛けられた人は、「行ってきまーす」という思いを込め海へと投げ入れる

海とレイ
海へ投げられたレイが岸にたどり着くと、その人はまた島に帰ってくるとも言われている。海を漂うレイもまた美しい

ムニンヒメツバキ
小笠原村の花に指定されている固有種のムニンヒメツバキの花。白くてツバキより小さく可愛らしい花は、6月ごろから夏の終わりまで咲く
撮影者の横顔
冨田マスオ(とみた・ますお)1967(昭和42)年6月生まれの49歳。鹿児島出身で、30歳の時に小笠原の自然に魅了されて移住、本格的に写真を始める。現在は「マスオフォト」として四季折々の祭りやダイビング、結婚式の写真などを撮り続けるかたわら、歴史や文化、自然の観光ガイドや、小笠原の映像と音楽のプロデュースなども行っている。