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本村凌二・評 『サピエンス全史 上・下』=ユヴァル・ノア・ハラリ著

 (河出書房新社・各2052円)

 一九六九年、アームストロング宇宙飛行士たちは月面探検の前にアメリカ西部の砂漠で訓練された。近隣に住むアメリカ先住民部族の老人は彼らが月面探検の旅に出ることを知ると、月に棲(す)む聖霊にぜひとも大切なメッセージを伝えてもらいたいと願い出た。部族の言葉をいくども繰り返し、宇宙飛行士たちに正確に暗記させたという。彼らは基地に戻ると、先住民の意味不明な言葉を理解する人を探し出し、メッセージの訳を頼んだ。訳者は腹をかかえて笑い出し、「この者たちの言うことは一言も信じてはいけません。あなた方の土地を盗むためにやって来たのです」と口にした。

 人類らしきものにも異なる人類種が生まれ、やがてユーラシア西部にはネアンデルタール人が姿を現し、二〇万年前には東アフリカに現生人類につながるホモ・サピエンスが出現した。

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