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都内保育所 人件費割合に差 株式会社運営、国想定下回る

保育所数と主な株式会社の人件費割合

 毎日新聞は、東京都内の民間の認可保育所と小規模保育所の昨年度の財務状況を東京都に情報公開請求し、計1205施設について調べた。株式会社の運営する保育所では、大半を補助金で賄う事業活動収入に対する人件費の割合が平均で50%程度だった。国や地方自治体は、保育士に十分な待遇を確保するための人件費割合を「70%程度」と想定し、補助している。しかし、企業によっては資金を保育所の新設に回すなど国の想定と実態がかけ離れており、保育士の待遇改善が進まない一因になっているとみられる。

 都は昨年度から保育士の処遇改善のため民間を対象に独自の補助制度を開始。助成の条件として各保育所に財務状況の一覧の提出を求めた。毎日新聞は、都の補助対象となる保育所と小規模保育所計1506施設の情報公開を請求し、8月末時点で未提出分や未記載などのあった施設を除いた上で、社会福祉法人の運営する866施設と株式会社の339施設を調べた。社会福祉法人は国の想定並みの69.2%だったが、株式会社の施設は49.2%にとどまった。

 補助金は全国共通の制度に加え都道府県や市区町村独自の上乗せがある。全国共通部分は人件費や備品購入費、給食費など使途ごとに積算し、人件費は70%程度としている。これに対し、複数の企業が毎日新聞の取材に「人件費割合70%の想定が実態に合っていない」と答えた。資金を新規開設や本社の管理費に充てる必要があることや、社会福祉法人に比べ自前の土地・建物を持っていない施設が多く、賃貸料がかかるなどと説明している。【桐野耕一、黒田阿紗子】

待遇改善促す支出ルールを

 待機児童解消を急ぐ国は、昨年度から多様な運営主体の参入をさらに促進しており、今後、株式会社の保育所の急増が見込まれている。しかし厚生労働省は社会福祉法人と株式会社の経営の実情を把握しないまま税金の投入を続けており、保育士の待遇の改善に十分な効果を上げていないのが実情だ。

 厚労省は2012年度に実施した保育所の経営実態調査などを基に人件費割合を70%としている。だが、調査に回答した株式会社の数は極めて少なく、実態を反映しているとは言えない状況だ。

 保育システム研究所の吉田正幸代表は、「保育所は保育士のマンパワー中心の産業構造。株式会社でも60%程度にはなるだろう」と指摘する。

 ただ、株式会社は配当や税負担などもあり、社会福祉法人とは運営環境が異なる面もある。問題は、貴重な税金が効果的に使われていない仕組みにある。国には、保育所経営の実情を踏まえた上で、待遇改善に確実につながるよう補助金支出の明確なルール作りが求められる。【桐野耕一】

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