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全加工食品の原産地表示=小島正美(生活報道部)

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国の素案が示す原産地の表示例。「輸入又(また)は国産」とある
国の素案が示す原産地の表示例。「輸入又(また)は国産」とある

本当に役立つ方法探れ

 なぜ、こんなおかしな表示案が出てきたのか。誰もがそう思うはずだ。今月上旬、消費者庁と農林水産省が示した国内で製造される全加工食品に義務づける原産地表示の素案のことだ。国は今秋中にまとめる方針だが、多少時間がかかっても表示方法を再考し、消費者に本当に役立つあり方を探ってほしい。

誤認避けられぬ「輸入または国産」

 案の骨子はこうだ。重量の割合が最も高い原料を対象に、その中身について国別に重量の多い順に国名を表示する。ただし、気候や相場の変動などで原料の調達地や重量の順位は頻繁に変わるため、(1)「A国またはB国」(可能性表示)(2)「輸入」(大くくり表示)(3)「輸入または国産」(大くくり表示と可能性表示)(4)「A国製造」(中間加工原材料の製造地表示)−−という四つの例外表示を設けた。

 消費者団体から特に不評なのは(3)「輸入または国産」の表示。これでは地球のどこかで作られたという意味しか伝わらない。また(4)中間加工原材料の製造地表示にも疑問の声が強い。これだと米国産小麦を日本で加工した小麦粉でパンを作った場合でも「小麦粉(国内製造)」と表示できる。この「国内製造」という表示を認めると、多くの菓子や冷凍食品が国内製造となって原産地が伝わらない。

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