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津波

「てんでんこ」7割知らず 「薄情」と感じる人も

綾里駅前の「津波てんでんこ碑」。毎年3月11日午後2時46分に、右下の「忘れない」の文字に日時計の影が差す=岩手県大船渡市で

 「津波が来たら家族ら他人のことに構わずすぐに避難しろ」という意味の「津波てんでんこ」という言葉について、7割の人が知らないうえ、多くの人が「自分だけ助かればよい」という自己中心的な行為だと感じるとの調査結果を、東洋大の及川康准教授(災害社会工学)がまとめた。本来は各自で避難することを事前に家族で話し合っておくことなども含めた心構えを示した言葉だが、浸透していない実態が浮かんだ。

 「てんでん」は「てんでんばらばらに」という意味。岩手県大船渡市出身で子供のころに昭和三陸大津波(1933年)を経験した津波研究家の山下文男氏(故人)が広め、東日本大震災を機に津波防災の啓発で改めて注目されている。

 調査は2014年度、インターネット調査会社の全国の登録者を対象に年代や地域が偏らないよう調整して実施、767人が回答した。このうち約7割にあたる529人が「津波てんでんこという言葉を聞いたことがない」と答えた。この529人に言葉の意味を知らせたうえで、津波てんでんこに賛同するかしないかを尋ねたところ、約7割が「賛同しない」と回答した。「薄情だ」「利己主義」などネガティブに受け取る人が多かった。

 京都大防災研究所の矢守克也教授(防災教育学)は、「津波てんでんこ」には迅速な避難で自分の身を守るという直接的な意味に加え、避難する姿を見せることで他者の避難を促進する▽事前にそれぞれが避難するという信頼関係を構築する▽自分だけが助かってしまったという生存者の自責の念を軽減する--などの意味があると指摘する。

 表面的な言葉だけが独り歩きすることを懸念する防災関係者も多く、及川准教授は「津波てんでんこという言葉を繰り返すだけでは、防災に生かせない。丁寧にその意味を説明することが必要だ」と話した。【飯田和樹】

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