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烏鷺日和

ソフト規制 早急に整備を=金沢盛栄(編集委員)

AIソフト「アルファ碁」との最終第5局に臨み、初手を打つ李九段(右)=ソウルで3月15日、AP

 <烏鷺日和(うろびより)>

     お隣の将棋界に激震が走っている。A級リーグ在籍のトップ棋士、三浦弘行九段による将棋ソフト不正使用疑惑だ。

     囲碁界はどうなっているのか。今年3月、あの“事件”が起こる前なら、「囲碁でそんなことはあり得ない。ソフトが弱過ぎて、何の役にも立たない」と一笑に付されただろう。既にトップ棋士を追い越していると見られる将棋ソフトに比して、囲碁ソフトはせいぜいアマチュア高段者のレベル。そして、プロ級になるには10年はかかると見られていたからだ。

     ところが、米グーグル傘下の企業が開発したAI(人工知能)ソフト「アルファ碁」が3月、世界トップの一人、韓国の李世〓(イセドル)九段に五番勝負を挑み、4勝1敗で圧勝。囲碁の世界でもソフトが既にプロ・トップ級であることを見せつけた。ドッグイヤーと言われるコンピューターの世界。人間の想像をはるかに超える速さで、ソフトは進化していたのだ。

     囲碁ソフトに詳しい大橋拓文六段は自身のブログ中で、将棋ソフト不正使用疑惑に触れ、「人ごとではありません。まず囲碁AIの実力ですが、あと1年もすればプロレベルのものが数多く登場するのは間違いなく、2年以内でプロレベルの囲碁AIが普通のパソコンで使えるようになるでしょう」などと記している。

     ● 〇 ● 〇

     囲碁界の総本山である日本棋院は現況、囲碁ソフトに関しての規定を設けていない。そもそも、“そんなことをするはずがない”という性善説に立っており、携帯電話の管理は各人に任せている。

     同棋院の職員は「常務会で将棋界のことは話題になったが、すぐに何かを規制しようという方向にはならなかったと聞いている」と言い、「ただ、検討は既に始まっているようです」と対応は緩やかなものだった。あるトップ棋士は「AIに振り回されて、規制というのはどうかなと感じる。懸命に修業をして自分の碁を打ってきた。何のために碁を打っているのか。人間としてのモラル、哲学が問われていると感じる」と話した。

     ● 〇 ● 〇

     囲碁は将棋に比べると国際性が高い。中国、韓国、台湾にはプロ組織があり、毎年開催される「世界アマチュア囲碁選手権戦」には、50カ国・地域以上の選手が参加する。

     それだけに、将棋に比べると、不正の入り込む余地はある。実際、より国際的なチェス界では、何度となくソフトの不正使用が報告されてきた。

     対岸の火事と思わずに、囲碁界も早急なルール整備が急がれる。

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     烏鷺とは「烏」を黒石に、「鷺」を白石に見立てた囲碁の異名


     ●○将棋ソフト不正使用疑惑

     日本将棋連盟は12日、「三浦弘行九段を年内の公式戦出場停止処分にした」と発表。同日開かれた記者会見で、今年夏ごろから三浦九段が対局中に不自然に見える離席を繰り返し、将棋ソフトを用いた不正行為が疑われていると明らかにした。三浦九段は「不正行為は行っていない。ぬれぎぬ」と反発している。

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