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「韓国のゴッホ」と日本人妻(その1) 夫婦結ぶ愛の絵手紙

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李仲燮が次男・山本泰成さんに送った手紙。上部に描かれている絵は李の代表作の一つ、「旅立つ家族」の原画とも言われる=山本泰成さん提供
李仲燮が次男・山本泰成さんに送った手紙。上部に描かれている絵は李の代表作の一つ、「旅立つ家族」の原画とも言われる=山本泰成さん提供

 秋の冷たい雨が落ち始めた9月下旬。ソウルの官庁街にある旧朝鮮王朝の王宮の一つ、徳寿宮(トクスグン)内の美術館に入ると、二重、三重の人垣ができていた。短い生涯に多くの作品を残し、「韓国のゴッホ」と言われる国民的画家、李仲燮(イジュンソプ)(1916~56年)の生誕100周年を記念した展覧会だ。「これ、すごく有名な絵じゃない?」。小学生の男の子が指さしたのは、大きく開いた口と黒く力強い目、せり上がった角が印象的な代表作「黄色い牛」だ。

 日本統治時代に現在の北朝鮮地域、平安南道(ピョンアンナムド)の富農の家に生まれた李は、東京で西洋画を学んだ。山本方子(まさこ)さん(95)と出会い、2人は日本の敗戦直前、朝鮮中部・元山(ウォンサン)(今の北朝鮮)で挙式。朝鮮戦争の勃発により韓国側に避難したが、山本さんと幼い2人の息子は生活苦と栄養失調で日本への帰国を余儀なくされた。李は韓国に残り、苦難に立ち向かう自身を牛に見立てて、作品を生み出…

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