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社説

成年後見制度 誰のための利用促進か

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 認知症や知的障害などのため判断能力にハンディのある人の財産や権利を守るのが成年後見制度である。この制度の利用を促進する法律が通常国会で成立し、内閣府の委員会で具体的な方策が議論されている。

 認知症の人が増加し財産侵害などの被害は多発している。制度の重要性を国民が理解し、後見人の担い手を増やすことは必要だ。不正防止のため家庭裁判所を補完する機能の強化、親族や市民後見人を支援する仕組みの導入など、委員会では大事な改善策が検討されている。

 しかし、現行制度が抱える根本的問題については議論が足りない。後見人には認知症や知的障害のある被後見人の意思を尊重する義務が法律で定められているが、判断能力にハンディがある人の意思をどうやって尊重するかが現行制度には何も定められていないのだ。

 たとえ後見人が認知症や知的障害の特性を理解しておらず、本人の意思に反する判断をしたとしても、誰もチェックできていない。財産流用などの不正が発覚しない限り、後見人を代えたり、後見制度の利用をやめたりすることも事実上できない。

 選任件数が増えている弁護士や司法書士が後見人になると平均毎月2万~3万円の報酬を払い続けなければならないのにである。

 誰のための制度なのかという点に立ち返った見直しこそ必要だ。

 むしろ、現実は逆のことが起きている。入所施設を利用する際に後見人の同意が求められ、施設に入るために後見人を付ける人は少なくない。自由やプライバシーのない入所施設で何十年も暮らすこと自体が人権侵害だと欧米では考えられ、少人数での家庭的な暮らしを保障する流れが定着しているのだ。

 一方、日本では家族の意向や行政の判断で多くの障害者が入所施設におり、最近は後見人が本人の意思を確かめようとしないまま、施設入所を決めている例もよく聞かれる。

 利用者からすれば、報酬を払った上に権利を制限され、しかも自分の意に沿わないことを後見人に決定されているようなものだ。

 判断能力にハンディのある重度障害者の意思をどうくみ取るかという「意思決定支援」が最近は支援者の間で研究されている。海外では多数の実践例を蓄積し、本人の意思を中心にした福祉への転換を図っている国がある。日本でも通常国会で改正された障害者総合支援法に意思決定支援の必要性が明記されている。

 本人の意思を十分にくみ取った支援こそ成年後見制度に最も必要だ。財産管理が中心の現行制度を根底から見直し、本人が利用したくなる成年後見にしなければならない。

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