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非常食の賞味期限、ご注意

せっかく買いそろえた非常食も、適切に管理されないと賞味期限が切れて使えなくなることも=防災備蓄センター提供

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サバイバルフーズを手がけるセイエンタプライズの平井社長

 東日本大震災を機に非常食を充実させた人も多いのではないだろうか。あの日から5年8カ月。賞味期限切れに注意し、改めて備えを万全にしたい。

 ●賞味期限は25年後

 ぷりぷりのパスタと、ズッキーニなど歯ごたえのある野菜にクリームがよく絡む。ジャガイモのほくほく感が口に広がるシチューは、やさしい家庭の味。塩味ではなく、ほんのり甘いクラッカーは、しんなりしたビスケット風で喉が渇きにくい。その名も「サバイバルフーズ」。賞味期限は製造から25年後。3~5年が主流という非常食の中で断トツの長さを誇る。米オレゴンフリーズドライ社が開発した特殊加工技術で水分の98%を取り除き、脱酸素剤を封入して缶詰にした。

 洋風とり雑炊、洋風えび雑炊、野菜シチュー、チキンシチュー、野菜のクリームパスタ、マカロニアンドチーズ、クラッカーの7種類。クラッカー以外はお湯で戻して食べるが、水で戻すことも、そのまま食べることもできる。米国では陸軍の戦闘食や航空宇宙局(NASA)の宇宙食として採用されてきた。30年間保管した後の検査でも、品質と味に問題がないことが確認されている。

 最も安いクラッカーでも10食分で4000円(税別)と高価だが、官公庁や企業、病院に加え、最近は個人で買う人も増えてきたという。1978年から輸入販売するセイエンタプライズ(東京都千代田区)の平井雅也社長は「東日本大震災を機に政府の災害対策に疑念を抱き、自分の身は自分で守ろうと意識する人が増えた。賞味期限の確認や品質管理といった手間がかからず、買い替え不要なので結局は割安」と語る。

 ●「食べる日」設定を

 非常食をそろえたものの、5年が過ぎて賞味期限切れに悩む人も出てきた。東京都中野区の会社員、鈴木良祐さん(46)は7月、家族4人分の非常食と飲料水を捨てた。「気がついたら期限を3カ月以上過ぎていた。災害時に体調を崩すリスクは少しでも減らしたいと思った」。1人あたり18食分のご飯、おかず、6リットルの水を無駄にしたが、同じセットを再び買いそろえた。

 非常食の賞味期限をどう捉えるべきか。防災安全協会の斎藤実理事長は「普通は余裕を持たせて期限が設定されているので、半年くらい過ぎてから飲食しても問題がないようになっている。期限が差し迫っても、家庭レベルならそれほど焦って更新しなくてもいい」と説明する。お勧めは1カ月に1回の「非常食を食べる日」。賞味期限切れを防ぎ、災害に備える意識も高められる。

 自治体や企業の場合、古くなった非常食は産業廃棄物として処理している。斎藤理事長によると、1キロあたりの処分費用は水で35円程度、食物で60~70円。協会は今年、賞味期限を迎える前の非常食を無償で引き取り、日本赤十字社やフードバンクを通じて被災地に供給したり、貧困家庭や福祉施設に日常的に提供したりするプロジェクト「防災バンク」を始めた。

管理代行サービスも登場

 非常食を巡っては、賞味期限の管理代行サービスも登場した。防災用品販売会社「防災備蓄センター」(東京都中央区)は昨年1月から、期限の報告や入れ替え品の提案、期限が迫った商品の具体的な再利用や廃棄方法の指南を手がけている。野崎一郎取締役は「企業やマンション管理組合で、担当者の異動や交代で引き継ぎが不十分だったり、保管場所が複数あったりすると、防災備蓄品の管理はおざなりにされがち。近い将来、個人向けの管理代行サービスも始めたい」と意気込む。

 「賞味期限が切れた非常食が殺到して処分しきれず、パンク状態に陥っている」。複数のフードバンク関係者が頭を抱える今こそ、有効で適切な非常食の活用に取り組みたい。【鳴海崇】

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