赤い服で表現する強い罪悪感と悲しみ
ペドロ・アルモドバルの新作。アカデミー賞外国語映画賞を受賞した「オール・アバウト・マイ・マザー」や脚本賞の「トーク・トゥ・ハー」など、世界映画の尖端(せんたん)に立つオリジナルな作品を発表してきたスペインの監督です。
初期の「神経衰弱ぎりぎりの女たち」を思い出していただければおわかりのように、アルモドバルは、女性を描くのが上手な監督。溝口健二と並べて評価する人もいるくらいです。近ごろはスタイルを変え、思い切りスタイリッシュなホラー「私が、生きる肌」とか、ブラックなコメディー「アイム・ソー・エキサイテッド!」とか、これまでと違うジャンルに手を出してきましたが、今回は女性の姿を表現することに力を注いだ、ストレートなドラマ。アルモドバルが昔に戻ったような、親しみやすい作品です。
映画は、マドリードのアパートで荷造りをする女性の姿から始まります。そこに男が立ち寄り、荷造りはでき…
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