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社説

激震トランプ 米中関係 不安定化避ける対話を

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 次期米大統領のトランプ氏は経済問題で「為替操作国だ」「米国から仕事を奪っている」と中国を標的にしてきた。一方で北朝鮮の核開発問題で、中国に責任を委ねる考えを示すなどアジアの安全保障には強い関心を持っていないように思える。

     米中関係の行方は世界の政治、経済に大きな影響をもたらす。極端な議論に陥らず、冷静な政策立案、対話を進めるべきだ。

     米国にとって中国はカナダ、メキシコを上回る最大の貿易相手国だ。国別の米国債保有高も中国が1位だ。巨額の貿易赤字批判は1980年代の日米関係に似ているが、経済関係はより密接ともいえる。

     トランプ次期政権が中国製品に高率の関税を課せば、中国は報復関税で対抗し、通商紛争に発展する可能性が高い。双方が傷つくだけでなく、国際経済全体が打撃を受ける。

     環太平洋パートナーシップ協定(TPP)からの離脱は逆に中国を利するだろう。新たな貿易ルール作りの主導権を失うからだ。

     内向きの自国優先主義は安全保障観にも表れている。日韓に負担を求める姿勢は、同盟の弱体化につながりかねない。軍事同盟を「時代遅れ」と批判してきた中国には好都合だ。

     トランプ氏は通商交渉を有利にするために東シナ海や南シナ海に軍を展開し、中国に力を誇示する考えを示しているが、自由な航行や国連海洋法条約順守など「法の支配」を中国に迫るのが筋だ。

     トランプ氏の一連の発言からは、人権や民主主義など普遍的価値を重視する姿勢が感じられない。環境問題にも消極的だ。米国の道義的な指導力が失われれば、中国に接近しようとする国が増えるのではないか。

     トランプ氏は選挙中の「暴言」を封じ、修正を図っているようにも見える。政権に共和党の主流派が加われば、極端に偏った政策にはブレーキがかかると期待したい。

     しかし、今のところ、米中関係の方向性は見えにくい。トランプ氏周辺からは対中強硬論の一方で、中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加論も出ている。

     トランプ氏は習近平(しゅうきんぺい)国家主席との初の電話協議で「米中はウィンウィンを実現できる」と述べたという。包括的な対中政策はまだ、まとまっていないのが実情だろう。

     中国は新政権の出方を探るような挑発的な動きを避け、冷静な対話ができる環境を作るべきだ。

     米中関係の行方は日本にとっても重大だ。トランプ氏側に日本の立場や関心を伝える一方、中国とも意思疎通を図っていきたい。

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