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詩歌の森へ

日常詠の新しさ=酒井佐忠

 詩は無名がいい。そんな意味のことを言ったのは、確か飯田龍太だった。歌人の島崎栄一の姿を見ていると、ふとその言葉を思い起こす。ただ黙々と己のペースで歌を詠むことに集中してきた日々。思いの深い青春歌集から名づけた主宰誌「鮒」が創刊30周年となった。小さな集団で、はじめから拡大や発展は眼中になかったというのも歌人らしい。だが、積み重ねの日々が盛大な祝賀会に、部厚く充実した特集号の刊行として実ったのである。

 現実を見据えた上、鋭利に抒情を歌った秋田出身の鈴木幸輔に師事した。鈴木の名を知る人もいまは少ない。だが、島崎は師の歌風にこだわった。「短歌の文学としての日常性がどこまでもつか。どこまで生き残れるか。私は若いときからそのことを思っていた」と歌人は特集号の巻頭に書いている。「日常詠に何らかの新を加えたい」。若き日に詩や俳句にも接し、前衛俳人の高柳重信を愛読しただけに、「詩性と日常」に徹した30年だっ…

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