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ニッポン瞬・彩

モッテコーイ! 勇壮華麗長崎くんち(長崎市)

写真・キャプション 廣高都志子

 長崎の氏神様、諏訪神社の秋の大祭「長崎くんち」。7年に1度の大役を担う7ケ町の踊町(おどりちょう)が演(だ)し物をご奉納。神様への感謝の心が奉納踊りとなる。豪華な演し物の数々は江戸時代、唯一の貿易港・長崎が諸外国の影響を受けた歴史を物語っている。最終日、諏訪神社の踊り場は観客でぎっしり埋まり、7ケ町の奉納踊りに拍手喝采「モッテコーイ」(アンコールの意味)の声が響き渡る。長崎生まれ長崎育ち、長崎くんちを撮り続けているフォトスタイリスト、廣高都志子さんの写真で、2014(平成26)年10月の街の熱気や晴れ舞台に臨む踊町の心意気をお届けする。

小屋入り

小屋入りは毎年6月1日に行われ、その年の踊町の役員や出演者などが諏訪・八坂の両神社で清祓(きよはらい)を受けて、大役の無事を祈願する神事です。踊町はこの日から、本格的な演し物の稽古(けいこ)に取りかかります。長崎くんちという大祭は、この小屋入りから始まります

庭見世・麹屋町

10月3日の夕刻から行われる庭見世(にわみせ)は、踊町が無事に稽古を終え、傘鉾(かさぼこ)や、演し物や奉納に用いる衣装、道具を披露して、奉納の準備が整ったことを示す行事です。知人からお祝いとして贈られてきた「御花(おはな)」も一緒に飾り付けられます

庭見世・五嶋町

雨乞いや福をもたらす意味がある龍踊(じゃおどり)を飾る五嶋町の庭見世。青龍(りゅう)の横には、この年新調された白龍が並んでいます。スピード感と高さを誇る五嶋町の演技には定評があります

興善町の踊り子と地方さん

所望踊り(しょもうおどり=アンコール)を披露する興善町の踊り子たち。手前は長唄や三味線を演奏する地方(じかた)さん。草履を脱いで着物のまま石畳の上に正座するのは、地方の心意気を表しています。奥両側の観覧席は有料の桟敷席ですが、中央の「長坂」と呼ばれる階段席は市民に開放された無料観覧席。これも長崎くんち特有の伝統です

八幡町傘鉾

傘鉾は町の神聖な象徴で、町を守る神が宿るものとされています。踊町のプラカード的な存在です。八幡町の傘鉾は高さ2間半(約4.5メートル)もあり、現存で一番背が高い傘鉾です。飾(だし)は、朱塗りの弓矢台に大弓二張、二十四座の征矢(そや)に白ハトが3羽とまっています。垂模様(たれもよう)は塩瀬羽二重・手描き友禅染で、男山八幡の景に白ハトが羽ばたく様子が刺しゅう仕上げで描かれています

八幡町の剣舞

八幡様は武勇の神であることから、剣舞が奉納されています。少年剣舞と成年剣舞で構成され、写真は詩吟「扇の的」の一場面で、屋島の戦いにおける「那須与一の扇の矢」の情景をうたったものです

八幡町・弓矢八幡祝い船

諏訪神社への奉祷(ほうとう)文を持参する山伏たちが、侍大将とともに京都の男山八幡宮から長崎へ至る航海の様子を表現しています。船の前進後退と曳き廻し(ひきまわし)を繰り返し、いったん動きを止めると両舷の矢立箱から白ハトが放たれ、青空に一斉に飛び立ちます。ほら貝の音が鳴り響くと、船は再び荒々しい大海原へと曳き廻されます

万才町の子供の踊り子たち

わらべ歌の旋律に合わせて「町で饅頭(まんじゅう)買うて」「でんでらりゅう」「あっかとばい」などの子供の遊びを快活に表現しています。踊りとともに三味線の音が小気味よく響いて港町・長崎の活況を印象づけてくれます。子供たちの活躍に支えられ、この長崎くんちは継承されていきます

銀屋町の鯱太鼓

銀細工職人が集まってできたのが町名の由来です。鯱太鼓(しゃちだいこ)は、唐の「蓬莱鯱(ほうらいこ)伝説」にちなんで、「天空に昇る鯱はやがて黄金の龍となり人々に吉祥を招く」といわれ、采振(さいふり)・担ぎ手の男衆によって勇壮な演技が奉納されました。約750キロの太鼓山を約30人の担ぎ手が宙に放り上げ片手で受け止めます。受け止めた瞬間、観客から大きな拍手が湧き上がります

五嶋町の龍踊

龍踊(じゃおどり)は不老長寿の源とされる月を龍が食べようとする様子を表しており、雨乞いの踊りとしての意味も持っています。演技は珠を追う「珠追い」、とぐろを巻いて珠を探す「珠探し(ずぐら)」、自らの胴をくぐって身を翻す「胴抜き」という所作があり、その迫力がとても魅力的です

庭先廻り

踊町は神社での奉納踊りが終わったあと、神様のお使いとして街中の家々や店舗を一軒一軒訪ね、玄関先や店先で敬意を表して短い踊りやお囃子(はやし)を披露呈上、あいさつにまわります。これを「庭先廻(まわ)り」といいます。龍踊の珠や龍頭が軒をくぐると縁起がよいとされており、家々では庭先廻りがやってくるのを心待ちにしています

麹屋町の川船

川船を奉納する踊町の中でも最大級の船を曳き廻す根曳衆。川船の見せ場「網打ち」は小学生の船頭が投網をして捕らえた魚を神社に献上するさまを、豪快な「船廻し」は急流に翻弄(ほんろう)されながら船を進める様子を、それぞれ表しています。船の回転数に変化をつけ、時折、船飾りから水しぶきが上がります。声と力を合わせた豪快な船廻しが見どころです

飾船頭・長崎刺しゅう衣装

川船の飾船頭(かざりせんどう)の衣装は伝統工芸でもある「長崎刺しゅう(ししゅう)」という技法で製作されており、金銀の糸やビードロ、銀細工を使って浮き彫りのような立体感と絢爛(けんらん)豪華なきらびやかさを放っています=2012(平成24)年の魚の町川船飾船頭

西濱町の龍船

龍船(じゃぶね)は屋形の構造で、屋根を開くと踊り子が演技する舞台ができる仕掛けになっています。龍船にはハンドルとブレーキが付いており、舵手2人が龍の首元に乗船して操作します。「福を迎える」を意味する根曳(ねびき)の掛け声「ヤーハー」とともに、囃子方(はやしかた)が鳴らす唐楽の響きは異国情緒を醸し出します

階段落とし

奉納踊りのあと、踊り場から退場するときは、真っすぐに参道の石段を下ることになっています。踊り子をはじめ出演者や役員も、そして重量のある曳き物(船)もこの石段を下ります。曳き物は引き綱をつけて後ろから町の役員や関係者が引っ張りながら1段ずつ降ろしていくこの「階段落とし」も迫力があります

観客とともに盛り上がる長崎くんち

万才町は「祭礼祝長崎万歳(まつりをいわう ながさきばんざい)」という本踊を奉納しました。「ショモウヤレ」というアンコールの声に応えて所望踊りを披露しています。踊り子に地方(じかた)も加わり、町内男衆の合唱に合わせてみんなで楽しく踊るという異例の趣向です。長崎・諏訪神社の踊り場は、2800人の観客が一斉に「ばんざい!」で盛り上がりました

撮影者の横顔

 廣高都志子(ひろたか・としこ)さんは長崎生まれ長崎育ちのフォトスタイリスト。1998(平成10)年の長崎くんちで長男が川船網打ち船頭という大役を果たし、家族総出で長崎くんちに携わった。それをきっかけに「お祭りに関わる人たちの温かさを切り取っていきたい」と長崎くんち撮影を始める。

 フォトスタイリストとしてフードや雑貨、暮らしやライフスタイルのステキをスタイリング&撮影。「長崎くんちとフォトスタイリングの世界」写真展開催。また長崎を愛する視点から長崎の風景を撮影し、長崎観光ポストカード、長崎ジグソーパズルを制作販売。スタジオ・アマービレ主宰。長崎や福岡でphoto&アイシングクッキー教室を開講。カメラを愛する女性たちにステキphotoを指導している。女性の視点から作り出す「その作品を手にしてみたい、作ってみたいと感じるスタイリング写真」「そこを見てみたい、行ってみたいと感じる風景写真」「その人に会ってみたいと感じる人物写真」を目指している。

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