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本郷 和人・評『天を灼く』あさのあつこ・著

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“真実”を知ってなお前に進むひたむきさ

◆『天を灼(や)く』あさのあつこ・著(祥伝社/税抜き1600円)

 名作『バッテリー』の著者による時代小説。本作でも元服前の少年たちが、実に生き生きと躍動する。彼らは武士の家の子どもであるが、皆もうすでにひとかどの「もののふ」なのだ。その責任感と行動力は凜(りん)としていて頼もしく、時に哀(かな)しい。

 舞台は架空の天羽(あもう)藩6万石。上士の子・伊吹藤士郎は、中級の家の風見慶吾、下士の出の大鳥五馬と競いながら、優しい母と活発な姉に見守られ、なに不自由のない日々を送っていた。ところがある日、幸せは唐突に暗転する。父の斗十郎が公金横領の咎(とが)で捕縛され、切腹を命じられたのだ。父を失った一家は、農村部のあばら屋に移り住む。

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