1996年の五輪の頃、アトランタの総領事をしていたことがある。そこから米国を眺めて、米国の病弊の一つが「人権」の有りようにあるとの感を強くした。「権利」は人と人とが対立関係にあると見るから出てくる概念で、押し出しすぎると調和が崩れる。
60年代の公民権運動を契機に米国において社会のマイノリティーや弱者の人権を保護し拡大する一大社会運動が起こった。米国の民主主義を発展させ、より完全なものとするためには、必要な正しい動きだった。この差別廃止の立場から「政治的に正しい」(ポリティカル・コレクトネス、PC)言葉遣いや行動が広く求められた。
マイノリティーや弱者の人権を拡大すれば社会の主流を形成する多数の人たちの既得権が損なわれる。当時の…
この記事は有料記事です。
残り391文字(全文710文字)
毎時01分更新
<1面からつづく> ◇ソフトターゲット、どう守る 東京五輪…
「親になろうとして、ごめんなさい」。東京都目黒区で2018…
アフリカの深刻な食糧問題の解決に、化学の実験によって作った…