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『謹訳 平家物語[四]』 著者・林望さん

 (祥伝社・1944円)

「もののあはれ」凝縮した純文学 林望(はやし・のぞむ)さん

 幼い安徳天皇が尋ねる。<私をどこへ連れてゆこうとするのじゃ>。ここは壇ノ浦の波の上。源平両軍が対峙(たいじ)している。<いよいよ源氏の兵(つわもの)どもが平家の舟に乗り移ってくる、そうして船頭や水夫どもも、みな射殺(いころ)され、斬り殺されて、船の体勢を立て直すこともできず、ばたばたと船底に倒れ伏してしまいます>。二位尼殿(にいのあまどの)は天皇を抱き<「浪(なみ)の下にも都がございますぞ」と慰め申し上げて、そのまま千尋(ちひろ)の深き海底へとお入りになったのでございます>。

 涙また涙である。「都落ちから徐々に不利に陥った平家が、一の谷の合戦(第三巻所収)を転換点として一気呵成(かせい)に滅んでいく。食べ物も武器も不足し、かつての敗残の日本軍のようになって、それでも誇りを失わないのです」と、作家で国文学者のリンボウ先生。平家一門の繁栄から滅亡までを描く壮大な歴史文学を現代語に置き換えた。謹訳(きんやく)とは著者の造語で、原典に忠実かつ現代小説のような読みやすさを追求す…

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