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武田 砂鉄・評『ヒットの崩壊』柴那典・著

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嘆くだけの“業界通”を黙らせる着眼と分析

◆『ヒットの崩壊』柴那典・著(講談社現代新書/税抜き800円)

 音楽業界通を気取るのは「いやはや不況だねぇ……」と愚痴るのが手っ取り早く、そういう面々が酒場のネタの補填(ほてん)に使いそうな内容かと思いきや、そんな浅はかな思惑をことごとく覆していく。右肩下がりの音楽ソフト生産額と右肩上がりの音楽ライブ市場のグラフをじっくりと成分解析していくと、そこに見えるのは“ヒットの崩壊”後の潤沢な可能性なのだった。

 冒頭で紹介される、デビュー以来23年ぶりとなる渋谷公会堂でのワンマンライブを実現させた人間椅子の事例が象徴的なように、「圧倒的にシンプルな考え方、単純な図式だった」(本書での小室哲哉の弁)CDバブル時代よりも、ミュージシャンには「『健全になった』と捉える方が正しいだろう」と指摘する。

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