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若島正・評 『読書と日本人』=津野海太郎・著

 (岩波新書・929円)

 わたしたちは、本という存在が不思議なものだとは思わない。食事をすることが当たり前なように、本を読むことが当たり前だと思っている。そして、本を読むことが基本的にいいことだと思っている。

 しかし、本および本を読むことについての本である、本書『読書と日本人』の著者津野海太郎(かいたろう)に言わせれば、そういう常識が定着したのは、識字率がめざましく向上し、大衆が読者層の基盤を支え、それにつれて出版点数も増加していった、「読書の黄金時代」である二十世紀に入ってからの現象であるという。あとがきによれば、本書はまず「二十世紀読書論」として構想され、その黄金時代にわたしたちの読書生活にいかなる変化が生じたかを、グローバルな規模で歴史的に論じるつもりだったとか。その構想を練る過程で、「日本」の読書の歴史をつかむことが問題として浮かび上がってきたのだという。

 本書はその言葉どおりに、「本はひとり黙って読む」ものであり、しかも「じぶんの部屋で」という習慣が、日本でいつ始まったかという話題から始まる。著者によれば、それは十一世紀半ば、『更級(さらしな)日記』で菅原孝標(たかすえ)の女(むすめ)が『源氏物語』に読みふけっている記述を残している瞬間だ。ここから、二十一世紀の現在に至る、約千年の日本における書物史と読書史が語られる。

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