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中村桂子・評 『正倉院宝物 181点鑑賞ガイド』=杉本一樹・著

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 (新潮社 とんぼの本・2160円)

宝物の美に現れる作り手の気持

 「正倉院。古代では重要物品を納める正倉を中核とする施設。今は、唯一残った東大寺正倉がこう呼ばれる。校倉(あぜくら)造、北倉・中倉・南倉の三倉一棟形式の巨大な高床式倉庫として著名。勅封(ちょくふう)に代表される厳重な管理の下で、聖武(しょうむ)天皇ご遺愛品や東大寺什宝(じゅうほう)など国際色豊かな八世紀の文物を多数伝え、明治に政府の直接管理に遷(うつ)るや、納物は正倉院御物(ぎょぶつ)(現在は宝物)として整理・修理・調査が進められた。今は宮内庁正倉院事務所が管理する--」

 著者は、この事務所の所長として一二五〇年もの間伝えられてきた九〇〇〇点にも及ぶ宝物の身近に暮らす羨ましい方である。しかも、二〇〇三年四月のホームページ公開に向けた正倉院宝物管理システムの調整に当り、「データ上で宝物全員と対面した」のだそうだ。これまでにない体験だろう。

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