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詩歌の森へ

「国民文学」の底力=酒井佐忠

 歴史ある歌誌「国民文学」を支えた歌人、千代國一の生誕100年記念の会が東京・麹町であった。<水ふかく沈む雪くれ蝋(ろう)のごと寂しき色のいくとき保つ>。千代の生地新潟に単身赴任した時の作。雪国では雪片もすぐには解けず寂しい色となって束(つか)の間の生を保っている。確かな把握による「写実」が、孤独の深さを象徴する歌。かと思えば晩年は、<生あらば天(あめ)の恵みとそこばくの歌を詠み足し吾に重ねむ>と歌ある豊かな生に自足した。

 「国民文学」は1914年、のちに毎日歌壇選者となる窪田空穂の責任編集で創刊され、小説や文芸評論、美術など幅広い文芸のすそ野を支えた。千代は、99年から長く編集・発行人として歌誌を守った。厳しい実業の世界で活躍しながら、歌への愛情は生涯変らず、生活実感を重視した「写実」の歌風に徹底した。13冊の歌集と『全歌集』などの著作を残し、宮中歌会始の選者も務めた。日々の生活に全力で、愛をこめて真向かった歌人…

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