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三浦雅士・評 『太平記 全六冊』=兵藤裕己・校注

 (岩波文庫・1091~1490円)

 兵藤裕己(ひろみ)校注になる岩波文庫『太平記』全六冊が完結した。『太平記』とは十四世紀、鎌倉末期から南北朝におよぶ数十年の戦乱を記した歴史文学。一言でいえば、テレビがない時代のテレビ、それも国民のための日曜夜の大河ドラマと思えばいい。たとえば江戸時代、テレビはないが「太平記読み」という講釈師がいて、武士から庶民まで広く人気を博していた。とくに楠正成が人気者で、楠公(なんこう)登場の回には風呂屋が空になるという川柳がある。国民意識が出てきた頃に流行(はや)った、いや逆に国民意識を形成したといっていい。

 本としても流布したが、口承文芸として庶民にもてはやされたのは、『太平記』を聞いていると誰でも物知りになれたから。中心は後醍醐天皇の建武中興から南北朝、足利義満登場までの歴史だが、古事記から古今集、源氏、平家といった日本の古典はもとより、唐天竺(からてんじく)の歴史、逸話にいたるまで、日本人なら知っておきたい常識がぎっしりつまっていた。項羽と劉邦も、玄宗と楊貴妃も、みんな出てくる。歌舞伎の出し物に…

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