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私の社会保障論 公と住民 協働の関係へ=横浜国立大教授・工藤由貴子

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 今から10年ほど前、世界の高齢者たちに学ぶ旅の途中で、老いてもその地域に住み続ける暮らしの工夫を知るため、アメリカ・ニューヨークの自然発生的リタイアメント・コミュニティー(NORC)を訪ねた。

 NORCとは「時の経過とともに自然に高齢居住者の割合が高くなった一定の地域」のことである。同じような世代が移り住んだ集合住宅は、やがて高齢者の割合が著しく高まる。自然に任せておくだけでは共倒れになってしまうと、住民が20、30年先を見据えて話し合いを重ね、自立を支えるために創り上げたコミュニティーを、後追い的に政策が保障して出来上がった老いの住まいの選択肢だ。

 筆者はその一つ、マンハッタンの北西にある集合住宅を訪ねた。総数2000戸のうち65歳以上の居住者が50%以上。高齢になった住民たちが、支援を受けながら暮らしていると聞き、日だまりでチェスに興じているお年寄りと、そのまわりで立ち働く若い人たちの姿を想像しながらそこに向かった。

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