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うつ病 他人に共感、再生 作家・谷川直子(56)

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作家、谷川直子さんは神戸市出身。今春のセンバツ甲子園に母校の兵庫県立長田高が出場し、長崎の海星に惜敗。「テレビで観戦しました。ピッチャーだけでは勝てないんですねえ。大接戦で面白かった」=東京都渋谷区で
作家、谷川直子さんは神戸市出身。今春のセンバツ甲子園に母校の兵庫県立長田高が出場し、長崎の海星に惜敗。「テレビで観戦しました。ピッチャーだけでは勝てないんですねえ。大接戦で面白かった」=東京都渋谷区で

 遅れて来た新人だ。社会のゆがみをユーモラスにえぐる小説が注目を集め、今秋には4作目となる『世界一ありふれた答え』(河出書房新社)が刊行された。現代病の代表格と言えるうつ病を真っ正面から描く。憎しみと混乱を経た主人公が、息を詰めるように踏み込む地平は、読者の感動を呼ぶことだろう。

 まゆこは25歳で結婚した。塾講師だった夫に市議会議員への出馬を勧め、3回当選。市長の座を目指して奮闘していたが、夫は若い女性に走った。離婚を余儀なくされて今40歳。泣き、食欲はなく眠れない。うつ病である。クリニックで頼子先生のカウンセリングを受けている。

 「私の実体験が大きいんです」。谷川さんは25歳で作家の高橋源一郎さんと結婚して40歳で離婚。雑誌の編集者を経て競馬のエッセーを書くなど活躍していたがうつ病になり、1年にわたって認知行動療法を受けた。「自分は外の世界を変えられない。じゃあ自分の立ち位置をずらしてみましょうとカウンセリングで言われました。私は文学少女だったのに、自分以外の人の苦しみに気づかなかった。他人に共感していなかったと知る経験…

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