連載

舞台評

舞台芸術を批評します。

連載一覧

舞台評

吉例顔見世興行 先斗町歌舞練場 場内に満ちる濃厚な空気

  • はてなブックマーク
  • メール
  • 印刷

 京都の顔見世は五代目中村雀右衛門の襲名披露。休館中の南座に代わり、先斗町歌舞練場を会場に3部制で開催中だ。席数は南座の半分程度だが、このため舞台が近く、場内に濃厚な空気が満ちる。

 間近に迫る役者の演技と義太夫の演奏が奏功しているのが第1部「実盛物語」。片岡愛之助の斎藤実盛は口跡よく、目線などで示す知勇の中にも若さが漂ってさわやか。中村亀鶴の瀬尾は存在感があり、死ぬ瞬間にとんぼを切る珍しい演技を見せる。葵御前の上村吉弥に気品。小万は大谷友右衛門。「道行旅路の嫁入」は戸無瀬(坂田藤十郎)と娘小浪(雀右衛門)の間に温かい情感が流れる。奴(やっこ)可内(べくない)に中村鴈治郎。

 第2部「車引」は、梅王丸(鴈治郎)、松王丸(愛之助)、桜丸(片岡孝太郎)の三つ子が見せる荒事。兄弟が行き会う場に野原の背景を用い、松王丸の衣装やかつらが通常と異なるなど、上方に伝わる型を踏襲した貴重な舞台である。時平に片岡市蔵。「廓(くるわ)文章」は、片岡仁左衛門演じる伊左衛門に鷹揚(おうよう)さとおかしみ、雀右衛門の夕霧に心ばえの優しさがあり、めでたく美しい対となる=写真・松竹提供。吉田屋女房…

この記事は有料記事です。

残り347文字(全文836文字)

あわせて読みたい

この記事の特集・連載
すべて見る

注目の特集