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華恵の本と私の物語

/5 きみは知らないほうがいい

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 「めぐみと一緒いっしょにいて、つかれない?」

     廊下ろうかると、すっとマキがよこた。彼女かのじょがわたしにこえをかけてくるなんて、いつ以来いらいだろう。

     マキは、クラスで一番いちばん権力けんりょくっている。すこまえまで、彼女かのじょ標的ひょうてきはめぐみだった。最近さいきんはクラスないのハブリもいたとおもったけど。

    「あの、おひるはんべるとき、クチャクチャおとてるでしょ」

     マキのわきにいるエリカが、なにそれ! とおおげさにう。たしかにめぐみは、ハブられてからかたわった。昼休ひるやすみにわたしと一緒いっしょにいても、したいておいしくなさそうにべる。

    「キモくない?」

     マキがみょう余裕よゆうありわらってった。

     めぐみのまえ標的ひょうてきは、わたしだった。

    「まぁ……ちょっとね」

    っちゃったねー!」

     マキとエリカが甲高かんだかこえわらした。わたしはマキたちにれられたがして、いっしょにわらいそうになった。

     そのとき

     めぐみが教室きょうしつぐちっていた。

     マキとエリカも、めぐみのほういた。めぐみはしたいたまま、廊下ろうかあるいてった。

     終礼後しゅうれいごかえ支度じたくをしていると、いつもどおり、めぐみがやってきた。教室きょうしつとき、マキとエリカの視線しせんかんじながら、わたしはかおをマフラーにめた。

     学校がっこうもんて、わたしはった。

     「きたいところあるんだけど、ってくれる?」

     めぐみはすこおどろいたようにわたしをてうなずいた。

     区役所くやくしょはいったビルの二十五階かいには、展望てんぼうフロアがある。エレベーターをりると、すっかりくらくなったそらえた。

     高層こうそうビルが点々てんてんひかっている。植物園しょくぶつえんだろうか、こんもりとくらいかたまりもある。くるまは、おもちゃみたいにちいさく、ゆっくりながれている。東京とうきょうまちが、クリスマスのイルミネーションのようだ。わたしは以前いぜん、ここにてひとりでいたことがあった。

    「めぐみにこれをせたくて」

    「うん」

     めぐみのこえふるえていた。

     わたしは、めぐみがきやむまで、ずっととなりっていた。

     +  +  +  +  +

     『きみはらないほうがいい』にてくるおんな米利めりと、クラスメートの昼間ひるまくんも、学校以外がっこういがい場所ばしょがありました。二人ふたりは、仲間なかまはずれにされても、孤独こどくでも、そこがあるから、学校がっこうからげないという選択せんたくをできたようにおもいます。

     毎日まいにちいえ学校がっこう往復おうふくだけだと、息苦いきぐるしくなることがありますよね。そのとき、もうひとべつ場所ばしょくといいのかもしれません。空気くうきえるのです。自分じぶんのいる場所ばしょつめなおすのです。


     エッセイストの華恵はなえさんが、ほんにまつわるおもきなほん紹介しょうかいします

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