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2020年東京五輪・パラリンピックの開催経費の全体像が初めて明らかになった。予算管理のガバナンス(組織統治)を強化して、さらなる削減に向けた精査が必要だ。
競技会場の見直し問題が決着したことを受け、大会組織委員会が約1兆6000億~1兆8000億円と試算して公表した。立候補段階の予算約7340億円の2倍を超える。警備費や輸送費の多くが含まれていなかったことを考慮しても、いかに見積もりが甘かったか。
開催経費は上限が決められておらず、東京都の調査チームが今年9月、3兆円を超える可能性を指摘していた。今回は2兆円を下回ったが、巨額であることに変わりない。
内訳は運営費8200億円、施設整備費6800億円、資材や人件費の高騰などに備え、1000億~3000億円を予備費として見積もった。経済や治安情勢次第ではさらに増える恐れがある。
組織委の収入はスポンサー料やチケット売り上げなど約5000億円にとどまる。残りの1兆円超は公金(税金)で賄わなければならない。
誰がどれだけ負担するかが今後の焦点となる。
組織委が資金不足となった場合は東京都が補い、それでも赤字の場合は国が補うことになっている。東京都、組織委、国は今年3月、役割分担や費用負担を見直す「3者協議」を始めた。だが、都知事の交代などによって中断した。年明けにも再開される協議で速やかに方向性を示さなければならない。
立候補段階の「コンパクト五輪」は分散・広域開催になった。開催決定後、費用削減のため一部の競技会場の新設が中止され、千葉、神奈川、埼玉県などが開催を引き受けた。費用分担について大半の自治体は難色を示している。
誘致したのは東京だが、「オールジャパン」を掲げて開催を勝ち取った経緯もあり、応分の負担はやむを得ないだろう。そのためには納得のいく、丁寧な説明が必要だ。
開幕まで3年半余。大会準備を円滑に進めるには関係機関の連携と協力が欠かせない。だが、足並みがそろっていない。
会場見直し問題では東京都の小池百合子知事と組織委の森喜朗会長が国際オリンピック委員会を交えた公開の場で腹の探り合いを繰り返した。その模様はメディアを通して多くの国民の知るところとなり、五輪への冷めた見方が広がっている。
それぞれのメンツや思惑をわきに置き、大会の成功という同じ目標に向けて情報を共有して知恵を出し合ってほしい。主導権争いをしている場合ではないのだ。
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