（９０）刑事罰の対象にもなる性的少数者（ＬＧＢＴ）

　エジプト社会では性的少数者（ＬＧＢＴ）を「生理的に不自然だ」とみなす風潮が強く、刑事罰の対象にもなっている。ＬＧＢＴ権利擁護団体「レインボー・エジプト」によると、治安当局は２０１３年以降、少なくとも５００人のＬＧＢＴを「不道徳な行為」などの理由で拘束した。ＬＧＢＴは周囲の理解を得られず息苦しい生活を強いられている。

　「高校生の時にゲイだと自覚したけれど、友達には打ち明けられなかった」。カイロの英語教師、アリさん（２７）＝仮名＝は匿名を条件に取材に応じた。大学生の時に両親に告白したが、病人のように扱われ「治療」のために精神科医の診察を受けた。「２カ月間通院して『同性愛から治った』とウソをついた。両親は私が同性愛者ではなくなったと信じ込んでいる」と話す。