日本発/中 刹那的利益、露骨に追求 東洋学園大教授(国際政治学、安全保障)・櫻田淳氏
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昨年11月、「エコノミスト」誌には、「ナショナリストたちの連盟」と題された記事が載った。それは、「世界中でナショナリストが隆盛しているのはなぜか」と問う趣旨のものであった。
昨年2016年の国際政治潮流は、各国における「ナショナリスト」政治指導者や「極右」政治勢力の台頭をもって語られるであろう。ドナルド・J・トランプの登場や英国の欧州連合(EU)離脱に限らず、「西方世界」では、移民流入やテロの頻発に触発された社会の「空気」の変化が顕著になっている。マリーヌ・ルペンに率いられた「フランス国民戦線」をはじめとする欧州各国の「極右」政治勢力の動向は、それ自体が一つの焦点になっている。他にも、「西方世界」の外では、ウラジーミル・プーチン、習近平、レジェプ・エルドアン、ナレンドラ・モディのように自国の利益を半ば露骨に追求する「パワーゲーム」志向の政治指導者が存在感を誇示している。「エコノミスト」記事の問題意識は、その限りでは納得に値する。
ただし、現下の国際政治の風景とは結局、「自らの利益を近視眼的、刹那(せつな)的に追求する流儀」の蔓延(まんえん)を意味するといえるかもしれない。トランプの登場にせよ、英国のEU離脱を招いた国民投票の結果にせよ、そこに反映されているのが、それぞれの国々で「グローバリゼーション」潮流に適応し損ねた層の不満であるとは、既に指摘されている。前に触れた「ナショナリスト」政治指導者や「極右」政治勢力の台頭が…
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