きらきらと輝くような音色で存在感バツグンの花形楽器、トランペット。菊本和昭さんは、NHK交響楽団の首席トランペット奏者です。昨年の大河ドラマ「真田丸」テーマ音楽では、トランペットのソロを吹いていました。日曜午後9時からのNHK Eテレ「クラシック音楽館」でも、N響の一員として演奏する姿を見ることができますよ。【出水奈美】
☆N響に入って5年目ですね。どんなオーケストラですか。
★トランペットは5人いて、とても技術が高いメンバーがそろっています。集団で演奏していると、お互いに合わせようとして小さくなってしまうことがあるけど、N響では合わせるだけでなく、自己主張、自己表現もできます。だからスケールの大きな音楽になります。日本一の集団だと思います。
☆首席奏者はどのようなことをしますか。
★オーケストラのトランペットのパートは、たいてい1番と2番の楽譜に分かれていますが、1番はソロが多く、2番は1番を支える役割も求められます。首席奏者は1番を吹いて、ソロも担当します。
☆いつから楽器を始めましたか。
★中学の吹奏楽部でトランペットを始めました。高校は吹奏楽の強豪校に進学して、大学は京都市立芸術大学に進みました。大学院まで終えて、京都市交響楽団に入り、2012年からN響に入団しました。
☆トランペットの魅力は何ですか。
★良くも悪くも目立つので、トランペット奏者は目立ちたがり屋が多いんですよ。僕はトランペットの輝かしい音色よりも、柔らかい音色が好きです。オーケストラにも吹奏楽にもジャズにも演歌にも、トランペットは使われるけど、しっとりと歌い上げるように吹くのもいいですよ。昔はいかに速く、いかに音を外さずに吹くかを考えていましたが、だんだん、ハイドンのような古い時代の作曲家の作品に魅力を感じるようになってきました。
☆トランペットの魅力が伝わる曲を教えてください。
★オーケストラ作品だと、マーラーが作曲した「交響曲第5番」、ムソルグスキーが作曲した「展覧会の絵」などは、トランペットの柔らかい音色を楽しんでいただけると思います。
☆トランペットならではの、輝かしい音色を味わえる曲は?
★クラークの「ベニスの謝肉祭による変奏曲」がお勧めです。とても難しい曲ですが、華やかな作品です。15日に神奈川県横須賀市で開くリサイタルでも演奏します。このリサイタルでは、ハイドンの「トランペット協奏曲」、ビゼーの有名なオペラ「カルメン」より「ハバネラ」も演奏します。N響のトロンボーンやホルンなど金管楽器の仲間5人とのアンサンブルもあるので、楽しんでいただけると思いますよ。
<公演情報> 菊本和昭トランペット・リサイタル~N響メンバーによる金管五重奏を迎えて~ 1月15日(日)15時、神奈川県横須賀市のヨコスカ・ベイサイド・ポケット。N響メンバーとベーメ「金管六重奏曲」ほか。S席3600円、A席2600円(学生券は半額)。ピアノは新居由佳梨さん。横須賀芸術劇場(電話046・823・9999)。
プロフィル◇
1980年兵庫県生まれ。同県西宮市立今津中学校吹奏楽部でトランペットを始める。私立洛南高等学校を経て、京都市立芸術大学首席卒業、同大学院首席修了。第19回日本管打楽器コンクール第1位、第72回日本音楽コンクール第1位。洗足学園音楽大学准教授、東京芸術大学非常勤講師。