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混沌たる世界を問う

テロや内戦、ポピュリズムの大波にうたれ、2017年を迎えた混沌(こんとん)たる世界。我々はどこに向かうのか。各国の知性に問うた。

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混沌たる世界を問う

/6 民主主義の変革、議論を アントニオ・ネグリ氏(政治哲学者)

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 トランプ次期米大統領の誕生と英国の欧州連合(EU)離脱はグローバル化(経済・社会などの地球規模化)への扇動的で国家主義的な反応だ。2008年の金融危機以降の経済状況を前にした大衆の反乱だが、反銀行よりもむしろ、反グローバル化となって表れている。

 だが、危機の本質はグローバル化ではない。グローバル化は本来、労働の自由、移動の拡大、可能性の共有という前向きな側面を持ち、必要なものだ。地球規模で取り組まなければ、どうやって金融規制やエコロジー問題への対処、移民流入の制御ができるのか。いずれも地球レベルでなければ解決できない。

 自著「帝国」で、政治には(1)グローバル化世界(2)多国籍企業ネットワークと国民国家(3)労働者、市民、非政府組織(NGO)、組合など--の三つのレベルがあると指摘した。国民国家を橋渡し役の中間地点でなく、中心に置こうとすれば、旧来の帝国主義、強大な国家を復活させてしまうことを意味する。

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