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余録

「更級日記(さらしなにっき)」といえば…

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 「更級日記(さらしなにっき)」といえば学校の古文の授業を思い出す方がおられよう。その前段では13歳の少女だった筆者が、東国の任地から京へ戻る父親に連れられての上(じょう)洛(らく)の旅を描いている。富士川まで来たところ少女は土地の人から不思議な話を聞いた▲1年ほど前、川上から流れてきた黄色い紙を拾うと、朱筆で来年代わるはずの各地の国司の名が記されている。駿河の国司の名もあったが、翌年この紙に書いてある通りに各地の国司が代わった。きっと富士の山に神々が集まって、国司を決めているのであろう……▲日記が書かれた平安時代中ごろには富士山頂からは煙がのぼっていた。自身の旅もそこに集まった神々が決めたことと思えば、ひときわ感慨深くこの話を聞いたに違いない。実際の国司の人事は正月11日から3夜にわたって御所に参集した公(く)卿(ぎょう)の評議で決めたという▲さて正月早々舞い込んだ役所内のメールに自分の名と今と違う職名を見た人は何を思ったか。文部科学省で検討中の約30人もの異動案が全職員に一斉メールで誤送信されていたという仰(ぎょう)天(てん)報道である。なかには異動にまつわる個人情報も含まれていたからたまらない▲省内のメールシステムの更新に伴う人事担当のうっかりミスらしい。そう聞いて「たるんどる!」と怒るより、似たようなミスをするわが身を省みて肝を冷やす向きも多いだろう。人の犯しやすいミスで秘匿(ひとく)情報が露見しては文教・科学の中央官庁として恥ずかしい▲文科省は今後の人事の協議にはメールを使わずに紙の資料を用いるという。異動期の職員には気になるその紙がどこの川に流れているのかは知らない。

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