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余録

明治維新で五箇条の御誓文を起草した…

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 明治維新で五箇条の御誓文を起草した由利公正(ゆりきみまさ)(元福井藩士・三岡八郎(みつおかはちろう))には坂本(さかもと)龍(りょう)馬(ま)の死にからむ伝説がある。福井城下で突風に襲われ、気づくと懐に入れていた龍馬の手紙がない。慶応3(1867)年、京で龍馬が暗殺された時だった▲だが本人の回想によれば、なくしたのは10日ほど前に面談した龍馬から渡された写真だった。日時は暗殺の2日前、紛失を気にしていたら京から悲報があった。面談というのは三岡の財務の才をかっていた龍馬が福井を訪れ、大政奉還後の財政経済の策を求めたのだ▲この時の2人の論議は夜半に及び、三岡は金札の発行を提案する。当時彼は藩の謹慎処分を受けており、面談には目付(めつけ)が同席したが、その役人は「目付を立ち会わせて謀反(むほん)の相談をするとは」とあきれつつ2人の熱論に「真に敬服した」と語った(子(し)爵(しゃく)由利公正伝)▲その福井での面談の8日後、暗殺の5日前の日付の龍馬の書簡という。福井藩の重臣に宛て、三岡を一日も早く上京させて新政府に出仕させるよう懇請したもので、「新国家の御家計御成立」に彼が欠かせないという内容だった。高知県が発表した新発見史料である▲この「新国家」は龍馬の他の書簡にはない言葉という。同じころ龍馬は新政府の財政を担える人材として三岡を推挙する報告を土佐藩重臣の後藤(ごとう)象(しょう)二郎(じろう)にも書いている。もしかしたら三岡との財政論議を通し龍馬の心中に新たな国家像が立ち上がったのかもしれない▲日本各地に潜む多彩な知性や才能、それを掘り起こし結びつけていく龍馬のような存在--心浮き立つ物語は今もどこかでつむがれていると思いたい。

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