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社説

テロ等準備罪 犯罪の対象が広すぎる

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 過去に3度廃案になった「共謀罪」を盛り込んだ法案が、成立要件を絞り込み、罪名を言い換えて国会に出されようとしている。

 組織的な重大犯罪を計画、準備した段階で処罰の対象とする「テロ等準備罪」だ。政府は、同罪を盛り込んだ組織犯罪処罰法の改正案を20日召集の通常国会に提出する。

 実際に犯罪が行われ、結果が生じなければ罪には問わないというのが刑法の基本的な原則だ。法案が成立すれば、その体系は大きく変わる。

 懸念されるのは、対象犯罪が676にも及ぶことだ。罪名にある「テロ行為」に関わる罪は、殺人や航空の危険を生じさせる行為、毒性物質の発散など167に限られる。

 覚醒剤の輸出入や強盗、詐欺など幅広い罪が対象となっている。現行刑法にも、準備段階の犯罪を罰する規定はあるが、あくまで例外だ。

 国会提出前に、与党内で法案審査が行われる。まずそこで、徹底的に問題点を洗い出すべきだ。

 国連総会で2000年、国境を越える組織犯罪へ対処するため、国際組織犯罪防止条約が採択され、03年に発効した。政府は条約に署名し、国会も承認した。テロなど組織犯罪を国際的な連携で阻止するのは当然で、日本もその輪に加わるべきだ。

 日本が今に至るまで条約を批准していないのは、国内法が未整備のためだ。条約は、「4年以上の懲役」が科せられる刑など重大な犯罪について共謀罪を設けることを各国に求めている。政府はこれに対応するため、03年以後、「共謀罪」法案を繰り返し、国会に提出してきた。

 過去の法案は、適用対象を単に「団体」としていたため、市民団体や労働組合などが捜査の対象になり得るとして、反発を招いた。

 今回、政府は適用対象を暴力団など「組織的犯罪集団」に限定した。犯罪を行おうとする合意(計画)だけでなく、凶器の購入資金の調達など準備行為が行われることも犯罪成立の要件に加えた。だが、要件の詳細な定義は明らかになっていない。捜査当局による一方的な事実認定によって市民の人権が侵害される可能性はいまだ払拭(ふっしょく)されたとはいえない。

 罪名に「テロ」を盛り込みながら、「等」を入れたところが法案のポイントだ。テロ以外の犯罪にも広範に網がかけられている点がやはり最大の論点になる。

 自民、公明両党には、対象犯罪の絞り込みを模索する動きがある。だが、対象犯罪を限定すれば条約の要請を満たせない、というのが政府の立場だ。一方、日本弁護士連合会は、日本の刑事制度下で条約の批准は可能だと主張する。対立点がある以上、拙速な議論は許されない。

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