JR五能線

「相変わらず何もない」という魅力 

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驫木駅の目前には日本海が広がる=青森県深浦町で2016年12月12日午前9時38分、佐藤裕太撮影
驫木駅の目前には日本海が広がる=青森県深浦町で2016年12月12日午前9時38分、佐藤裕太撮影

 目の前には日本海。小さな待合室だけの無人駅。「見るものは何もないですよ」。JR五能線にある驫木(とどろき)駅(青森県深浦町)で、始発の下り線を待っていた深浦町の工場従業員、竹越早知さん(68)はそう笑った。30年以上、この駅を使っているという。

 ただ、毎朝意識することもある。沖合に漁船があるかどうか。「沖合のいつもの位置に船が出ていれば時刻表通りです」。そう聞いて、ふと海に目をやった。船が見えた。列車も時間通りに来た。海沿いの街の変わらない風景がそこにある。

 水平線まで続く海と空、その手前にぽつんと駅舎が立つ構図が、JRの2002年春の「青春18きっぷ」のポスターに採用された。その時のキャッチフレーズは「タンポポみたいに旅にでた」。その通りかもしれない。タンポポの綿毛のように、風に吹かれた旅人がふらりとやって来る。「去年の冬、雪の降る日に一晩中波音を聞いて過ごして、朝の海を見て帰った大学生がいましたよ」。竹越さんは振り返る。

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