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Shall・we・バレエ?

舞台に降る雪 「くるみ割り」と「マッチ売り」

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「マッチ売りの話」のリハーサルに励む井関佐和子=写真家、遠藤龍撮影
「マッチ売りの話」のリハーサルに励む井関佐和子=写真家、遠藤龍撮影

 各地から大雪の便りが続く。雪のバレエといえば、代表格は「くるみ割り人形」。醜い人形が聖夜に王子の姿を取り戻し、少女を夢の世界へ誘う物語だ。

 古典作品には「バレエ・ブラン」すなわち「白の場面」があり、純白の衣装を着けた群舞が必ずどこかに挿入される。その正体は作品によって、白鳥だったり亡霊だったり。「くるみ」では、降りしきる雪片(または雪の精)として現れる。チャイコフスキーの甘美な旋律と相まって、印象的な名シーンだ。ただし挟まれるのは、少女の家という現実と、幻想(通常はお菓子の国)の境--いわば三途(さんず)の川のような位置づけなのだが、「なぜ境界が白銀世界?」との唐突感もぬぐえない。

 「くるみ」の原典は、幻想小説家ホフマンの「くるみ割り人形とねずみの王様」だ。原作で少女は、氷砂糖の野を通ってお菓子の都へ向かう。ブランは当初、氷砂糖として構想されたのかもしれない。いずれにせよ、おとぎ話の生命力を結晶させた理想形が「くるみ」であり、その幻想性を最も端的に表すのが雪の場面、と言えるだろう。

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