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人生は夕方から楽しくなる

詩人・高橋順子さん 夫亡き後、感じる 言葉はいいものだ

「とにかく彼は大おしゃべり。5秒と間を置かずにしゃべるから、お客さんに帰るすきを与えないんです。でも、いろいろ教わったなあ」=東京都文京区で、中村藍撮影

 東京・千駄木の谷底から坂を上ると、日の陰る路地に行き当たる。古い二階屋の引き戸を引くと、影絵のような格子窓と柱時計。すきま風の部屋にたたずむ姿は昭和のにおいがする。

 「インタビューはずっと断ってきたんです。寂しい、悲しいと言ったってしょうがないから」。2015年5月17日早朝、69歳の夫、直木賞作家の車谷長吉(くるまたにちょうきつ)氏と散歩に出た。夫は5分後、「300円持ってないか?」と言いだし、ビールを買いがてら先にひとり戻っていった。帰宅すると、台所で倒れていた。安らかな顔で、眠っているようだった。つまみをのどに詰まらせ、すでに窒息死していた。

 「考えようによっては、あのまま生きながらえても……。死の2年ほど前、脳梗塞(こうそく)になって、あ…

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